網羅性, "基本データ" と "個別データ"

IDEAに格納されているデータは、農林水産業、鉱業、建築・土木などの非製造業、飲食料品、繊維、化学工業、窯業・建材、金属、機械などの製造業と電力・都市ガス、上下水道、運輸業などのすべての製品を対象としており、IDEAデータベースは網羅性がある。すなわち、該当するバックグラウンドデータがないということがない状況である。一方、サービスや加工に関しても重要な産業分野によってはデータが格納されている。これらの産業分野では網羅性は担保されていない。

網羅性を担保しているデータを、「基本データ」と定義する。基本データは主に統計データを利用して作成されており、日本の平均的な製造プロセスを反映している。また、網羅性は担保されていないが、必要性が高いために作成されたデータを「個別データ」と定義する。個別データは、聞き取りや実測調査、既往文献・既存データなどから作成され、基本データよりも限定的なデータである。


IDEA分類コードと階層構造

IDEAでは網羅性のあるインベントリデータベースを構築するにあたり、はじめに対象とする製品の名称と対象範囲を規定した分類を設定し、その分類にコードを付与した。この分類コードのことを、「IDEA分類コード」と称する。 IDEA分類は、「日本標準産業分類」(総務省, 2002)およびその他の統計などを参考にして作成している。これらの分類コードは、「中分類<2桁>」、「小分類<3桁>」、「細分類<4桁>」、「細々分類<6桁>」の4種類が存在する。「日本標準産業分類」は、日本のすべての事業における経済活動を網羅しており、IDEAの特徴である網羅性を担保したデータベースの分類を作成する上で非常に有用である。また、多くの日本の統計が分類を統一するために、「日本標準産業分類」に基づく形で作成されている。このため、他の統計との対応や関係性などを鑑みてデータ分析を行う上でも、「日本標準産業分類」の互換性は高いと言える。 「日本標準産業分類」の分類番号とIDEA分類コードの対応関係を次の図に示す。



IDEAでは、IDEA分類コード「中分類<2桁>」と「小分類<3桁>」は、“産業分類”であり、単位プロセスデータは存在しない。「日本標準産業分類」で4桁表示されている細分類は“産業”に相当するが、IDEA分類コードの「細分類<4桁>」は製品分類であり、その産業が産出する製品の集合体を表す“製品群”と定義する。 次に、IDEA分類コードの階層構造(「中分類<2桁>」から「細分類<4桁>」まで)の例を次の図に示す。



また、「細分類<4桁>」よりも更に細かい分類を設定するために、「細分類<4桁>」の下層に、統計などの文献に基づいてIDEA独自に「細々分類<6桁>」を作成した。



IDEA分類コードの「細々分類<6桁>」は“製品”を表す。 IDEA分類コードの階層構造(「中分類<2桁>」から「細々分類<6桁>」)を次に示す。



このような産業による分類方法は、類似製品が異なる産業で製造されている場合に有用である。 単位プロセスデータから生成される製品出力フローは、IDEA分類コードに基づいた製品ごとの固有のコード番号を付与して管理している。


データの有効範囲

IDEAが設定する地理的有効範囲については多くのデータは日本全体である。また、時間的有効範囲(データベースの基準年)は2010年を原則としている。しかし、定義した条件通りの単位プロセスデータセットを全てについて作成することは難しく、実際には可能な限り直近の情報が用いられてデータ作成が行なわれている。なお、1990年代のデータもあり、その場合は単位プロセスデータセットの品質評価において、時間的有効範囲の品質が劣るという判断になる(基準年に対する差に応じて品質ランクが付与される)。技術的有効範囲は日本国内の事業所における平均的な技術を対象としている。


データ品質

IDEAデータは、多岐にわたる情報源から収集されており、品質も様々である。例えば、業界団体等が作成した品質が非常に高いデータもあれば、入出力データが十分に整っておらず一部推測等によるデータも格納されている。データ品質を十分に理解せずにバックグラウンドデータを用いてLCAを実施すると、結果に重大な影響を及ぼすこともある。従って、バックグラウンドデータの品質評価は重要である。また、IDEAでは網羅性を担保した基本データセットと、そうでない個別データセットが共存しており、似た製品名のデータセットが複数整備されていることもある。似た製品名のデータが存在する場合は、LCA実施者がどのデータセットを用いることが最適か判断する必要があり、より適合するデータを用いるための判断材料としても、バックグラウンドデータの品質評価の必要性は高い。

Copyright (C) AIST All Rights Reserved.